今までの経験が、「ヒトの気持ちに影響するデザイン」に繋がる

　10代の頃からデザインに触れていたのに医療系大学へ進学したり、またデザインの世界に戻ってきたり、働き始めてからも遠回りしながら今に至ります。しかし、デザインも医療も対ヒトの仕事。医療大学では精神分野にも興味があって、今思うと「心情心理」や「心地よく生きる」などの気持ちに影響するデザインに繋がっているように思います。医療を学びながらカフェでバイトを始め、そこで店舗デザインや内装の面白さに気づき、もう一度デザインを学び直しました。その後店舗・オフィスの設計施工会社で設計の基礎を学び、アンティーク家具を扱うデザイン事務所で、ものづくりや歴史を持ったデザインの奥深さに魅了されました。様々な世界を覗いたことで、こだわりの家具を作る職人さんや目利きのあるバイヤーの方、海外のメーカーに通じている方などとの温かい繋がりができました。時にはそういう方々にご協力いただきお客さまによりクオリティ高い空間をご提案できたらと思っています。もちろんparkERs内には植物に詳しい設計者や研究者、施工に詳しい人たちがいて、日々の人との繋がりが自分の仕事に直結し、これからは自分の経験を活かしてさらに良いものを創っていけると確信しています。

異なる専門性と融合することで生まれるここちよいデザイン

　もっとデザイナーとしての経験を積みたい、知見を広げたいと考えていたとき、parkERsと出会いました。空間の完成をゴールと捉えがちでしたが、植物と人が共に育っていくことを見据え、空間は完成してからがスタートだという考え方に共感しました。前職でアンティーク家具を扱っていこともあり、経年で生まれる趣や奥深さのある空間に惹かれるようになったのですが、これはparkERsの空間創りに通じると思っています。植物や自然の心地よさを大切にするデザイン、そしてそれが人に与える効果を、視覚的な部分だけではなく、考え方から学んでいる最中です。
　parkERsとして働く中で、驚きと同時に素晴らしい取り組みと感じているのが、プロジェクトに携わっている人たちだけでなく、それ以外の人たちとも情報を共有する場が多くあることです。広報担当などバックオフィスの人たちも参加する中で現状を報告し、それぞれの立場から意見を交わすんですね。自分では気づかなかった意見をもらい、関心したり、力不足に落ち込んだり…、良い経験をさせてもらっています。異なる専門性を持つメンバー同士が融合し、他にないデザインを提案することがお客さまから信頼される原点で、評価される理由なのだろうと身が引き締まる思いです。

誰かのやさしい“記憶の空気”をデザインしたい

　興味があることにはまず飛び込み、「わからないことは、やってみよう！」スタンスでやってきました。きっと、これからも変わらないと思います。頼まれ事がたとえ難題であっても、仲間と楽しくクリアできるデザイナーになることが目標です。そのためにも、まずはお客さまに信頼していただくこと。そして、お客さまのニーズを察し、「日常に公園のここちよさ」を届けるparkERsとしての提案をするために、自分自身がさまざまな経験を積んで知見を広げることが必要だと思っています。

　たとえば、コロナ禍によるリモートワークも経験のひとつです。通勤時間が減って生活に少し余白ができ、細かな気づきが増えました。隣の庭の花が咲いたな、空が綺麗だな、冬の空気になってきたな、など日々の小さな変化に感性を刺激されることは、きっと豊かな時間をデザインするためにいい影響を与えてくれるはずです。
　わたしたちが手がける空間は、誰かにとっては毎日過ごす場所であり、誰かの大切な記憶になる場所です。空間設計はその場の空気を変えることができます。そこで感じた空気は、記憶の背景になります。そのためにも創り手がやさしいマインドを持ち、創り手だけではなくお客さまにも大切にしていただける空間創りが大切なのだと思います。わたしもいつか、誰かのやさしい“記憶の空気”をデザインできたらうれしいです。