STAFFスタッフ紹介
プランツコーディネーター Plants Coordinator 花田 美晴 Miharu Hanada
東京農業大学造園科卒業。在学中より「青山フラワーマーケット」でアルバイトを始め、その後parkERsに入社。大学で学んだ造園的な知識と、メンテナンスをはじめとするさまざまな現場経験を武器に、植物を通じて人が幸せになるような空間づくりを目指す。
推し植物
道草
シロツメクサやカタバミ、ネコジャラシやタンポポなど、「雑草」と呼ばれることの多い道端に生えている植物が好きです。小さくて地味かもしれませんが、愛らしくて力強く、季節によって異なる魅力があります。私にとっては、花冠を作って遊んでいた子どもの頃の原点を思い出させてくれる大切な存在です。公園に行くと、足元の草花が気になってしゃがみこんでしまうのは、大人になった今も変わらないですね。
子どもの頃から尽きない、植物への好奇心
小さい頃から、公園でみんなが鬼ごっこをしている間も、しゃがみこんでそこに生えている草花をじっと観察しているような子でした。道草でブーケを作って空き缶に活けたり、花の蜜を吸ったり。植物に触れていると全然飽きないんです。家族もみんな植物好きで、下町に暮らす祖父の家では、道端に植木鉢をいくつも並べ、四季の花を絶やさないよういつも手入れをしていました。私もよく水やりの手伝いをしていたことを覚えています。
そんな環境で育ったせいか、自然な流れで将来は植物に関わる仕事がしたいと考えるようになり、大学は造園学科に入学。公園や庭園に限らず都市デザインから地域の魅力づくりなど、実地学習を中心に人と自然が共生するフィールドについて幅広く学びました。大学の勉強で特に印象的だったのは、フラスコに入った枝葉だけを見てその樹種を特定する、通称「葉っぱテスト」。樹木の特性を覚えるために、何百種類もの葉っぱの色や形、触った感触などをとことんメモして、1種につき1枚のレポートにまとめあげていくんです。
大変な課題も多かったですが、自分の好きなことを学ぶのは、毎日楽しくて仕方なかったです。大学で出会った人たちも植物好きばかりで、みんなでテーマパークに遊びに行っても、アトラクションより植栽が気になってしまい、手入れの仕方や植え込みの様子ばかり観察して意見を言い合っていましたね。
植物と向き合い続けた日々が、今の自分をつくっている
植物好きがこうじて、学生時代から「青山フラワーマーケット」でアルバイトをはじめました。「経験者募集」とあったのですが、「経験はないですが、花や緑がとにかく好きなので!」と、半ば押しかけるような形で働かせてもらえることに。
1年ほど店頭スタッフを経験したところで、その頃ちょうど立ち上がったparkERsに興味を惹かれて、自ら異動をお願いしました。最初に担当したのは、植物のメンテナンス。朝、大学に行く前にメンテナンス先に立ち寄って、植え替えや水やりをしていたのもいい思い出です。そうやって日々、植物と向き合っていると、小さな花が咲いていたり、新芽が芽吹いたりしていることに気がつきます。そのような、目立たないけれど小さな成長や変化を都度お客さまに伝え、育てる喜びも感じていただけるように心がけていました。
3人の先輩プランツコーディネーターのアシスタントとして、いろいろなことも学びました。植物の見せ方や植え込みの方法、用土や資料の作り方、提案の仕方や考え方など、三者三様のこだわりやスタイルがあり、それらを吸収してきたことは貴重な経験でした。
正式にプランツコーディネーターとして採用されてからは、そうしたさまざまな経験を経てきたことが、自分の強みだと感じています。とりわけ、店頭でのアルバイトやメンテナンスの現場を経験したことが、よりお客さまに近い目線での提案にも生かされています。大学の勉強で培った造園的視点と、parkERsで積み重ねてきたさまざまな現場経験が、今の自分につながっているんです。
植物で人に幸せを感じてもらえる空間を目指して
植物には人を元気にしたり、生活を豊かにしてくれたり、プラスの効果をもたらす力があると思うんです。私には、重度の障害をもつ姉がいるのですが、家族で付き添って通院するたび、病院内の庭園に気持ちが癒されていたことを今でも覚えています。学生時代に数日間ホームステイをしたドイツでは、「天気がいいから今日は朝食を外で食べよう」とホームステイ先の家族に誘われて、裸足で庭を歩いてみると、朝露がひんやりと気持ちよく、朝ごはんはいつもよりずっとおいしく感じられました。私自身が植物から元気をもらった経験があるからこそ、「植物を通じて人を幸せにしたい」といつも考えているんです。
植物のコンセプトを考えるときにも、装飾的にただ木を配置するのではなく、なぜその場所にその植物を使うのか、土地や歴史とのつながりや関係性を考えるようにしています。地域の図書館に通って、その土地の性質や歴史を徹底的に調べるなどのアナログなアプローチを行うことも。他にも、植物の学名からヒントを得たり、空間に使用する素材からインスピレーションを受けたり、植物の原産地にも気をつけたりなど、とにかく自分の中に引き出しをたくさん持っておくことを心がけています。
一番大切なのは、その空間で過ごす人が何を感じるかということ。10人いれば10通りの空間の過ごし方や使い方があっていいし、そうあるべきだと思います。1本の木に対しても、ある人は木漏れ日に心地よさを感じたり、ある人は枝や葉の細部に美しさを覚えたりするかもしれません。だからこそ、お客さまにご提案するときも、こちらで空間の使い方や過ごし方を決めきるのではなく、「幅」を持たせた提案を行いたいと思っています。
だからこそ、私が意図していなかった植物の感じ方をお客さまに発見してもらえると、とてもうれしいですね。