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WORKS事例紹介

“フィールド”と“観客席”が賑わいを協創するランドスケープデザイン
イオンモール浦和美園「うららか広場」

AEON MALL Urawamisono URARAKA HIROBA

野芝の賑わいと周囲の関係性が創る
スタジアムのような空間構成

約50店舗の刷新と外部棟を新設したイオンモール浦和美園(埼玉県さいたま市)のリニューアルプロジェクト。外部棟と既存棟をつなぐエリアに、約800坪の公園をつくる計画が立ち上がりました。

街を語る上で欠かせない「埼玉スタジアム2002」の存在をキーに、熱気や賑わいに視線が集まる「フィールド」と周りを囲む「観客席」というスタジアム特有の関係性を軸にランドスケープを計画。
一面に広がる野芝、風になびく色彩豊かな草花のガーデン、一年を通して表情を変えるシンボルツリーなど、自然の賑わいもデザインし、変化を間近に感じられ何度も訪れたくなる公園を計画しました。

本プロジェクトにおいては、より広場を身近に感じていただくきっかけとなるよう、植物の恵みに出会える3日間限定のイベント「plants culture caravan」も企画。複数のショップが並ぶマーケットスタイルで開催し、出店者の手配から当日の物販・ワークショップの運営まで幅広く手掛け実施に至りました。

まさにスタジアムのような「賑わいを共有し、協創する」空間についてご紹介します。

DATA
弊社の業務内容:コンサルティング、コンセプト提案、ランドスケープデザイン・施工、植栽メンテナンス、イベントの企画・開催、物販・ワークショップ等の運営

※検討段階のイメージスケッチ

 

周囲360度を既存棟・外部棟・駐車場に囲まれた、ある種閉じられた空間の特徴から、視線を中央に集めるイメージでランドスケープを検討する中で、浦和美園という街を語る上で欠かせない浦和レッズの本拠地「埼玉スタジアム2002」の存在がキーになりました。街の人に愛されるスタジアムの造りのように、熱気や賑わいが生まれ視線が集まる「フィールド」と、その周りを囲む「観客席」という構図でこの広場をつくれないかと考えました。

同時に、理想とする公園像を具体化するためのワークショップを実施し、プロジェクト担当者・施設内の直営店で実際に働くスタッフ・地域の魅力を発信する企業(株式会社ココロマチ)から約10名のみなさまにご参加いただき、現状の課題とニーズを引き出し顕在化。

 

 

様々な意見の中から、「老若男女問わず過ごせて心地よく、賑わいと落ち着き、そのどちらの過ごし方にも対応できる公園」という大きな枠組みが定まりました。

また家族連れの利用者も多いことから、防犯安全性の確保も大きなポイントととらえ、死角がなく周囲に人の溜まりがあることで常に子供を見守っていられるような環境として計画。芝生広場を中心に、それを囲うようにテーブルセットとベンチを配置し、家具を活用した休憩や芝生の上でのピクニックなど、人と自然の好ましい距離感を選択できるようにしています。

また「体験」の充実に対する意見も多く、季節性や地域性を取り入れたイベントの開催やフードトラックの配置なども視野に入れた、エリア全体で賑わいを共有でき多岐に渡る展開の余地を確保したつくりとしました。さらにイベント時だけではなく、日常の散歩道としての魅力を生み出す回遊空間としても親しみが生まれるよう、四季折々の花や緑が楽しい植栽計画を行いました。

 

 

中央の芝生広場は、ノシバとシロツメクサを約770㎡一面に混植。ここではあえてグラウンドのように均一に整備された芝生ではなく、季節の変化とともに緑色の自然なグラデーションがあり5〜9月頃に咲くシロツメクサの花摘みも楽しめるような仕立てにこだわりました。

 

 

 

 

 

駐車場に育っていた既存樹からはシラカシ・ツバキ・ヤマモモ・キイチゴ・ニレノキなどを移植し、そこにシンボルツリーのサルスベリ・トキワエゴを新たに植えています。サルスベリは7月頃になると、イオンさまのブランドカラーのようなマゼンタ色の花を咲かせ、バーゲンセールの多くの方が訪れる時期に鮮やかな生きた色彩が広場に来る方を迎え入れます。

また商業施設ではあまり見られない落葉樹を用いていることもこの広場の特徴。冬になると葉を落とす個性も含めて、季節による植物の移り変わりを体感できる場所を目指しました。

また広場を囲う形で設けた植栽帯には、植物が風に揺られるシーンを描き、約40種の低木や多年草、宿根草を用いて計画。メインカラーとアクセントカラーを設定した4つのゾーンに分け、色彩による楽しみや発見が生まれる構成としました。

 

●秋頃に穂をピンクに染めるミューレンベルギアや冬に葉を赤銅色に染めるポップブッシュなどを植えた駐車場側のエリア

●ラベンダーやロシアンセージなどパープル×ピンクのグラデーションが美しいハーブ香るエリア

●アガパンサスやウェストリンギアなどのブルー×パープル系の樹種をメインに高低差をつけて自然の表情を引き出したエリア

●シマグミやフェスツカなどシルバーグリーンをベースにノリウツギやギンバイカの白い花をつける樹種がアクセントの日陰にも強いエリア

 

プランツコーディネーター花田:
「駐車場から既存棟や外部棟までの道のりは、最短距離で広場を通らずに通り抜けることもできますが、訪れた方にはできるだけ植栽帯のそばを歩いてほしいという思いがありました。そこでいろんな花が咲いていたら、わざわざ通ってもらえるのではと思い、四季を通していろんな表情を楽しめる植栽計画を練りました。また安全に育成するために植栽帯を柵で囲うと、植物たちは本当に見るだけのものになってしまいます。柵で隔てることなく、できるだけ近い距離で植物にふれる時間を楽しんでほしい、植栽計画にはそんな想いを込めました。」

 

5月のゴールデンウィーク期間中に3日間限定で開催したイベントでは、「植物の文化を運ぶ」をテーマに、parkERsはイベント全体の企画・運営のほか、水面に浮かぶ花々をすくって楽しむ花すくいや、ポストカードに草花を閉じ込めてつくる森のはがき作り、parkERsのプランツコーディネーターが厳選した観葉植物の販売会、姉妹ブランド「青山フラワーマーケット ティーハウス」の人気メニュー・フレッシュミントソーダやローズソーダなどのドリンクブースを出店し、さまざまな形で植物にふれる体験をお届けしました。

 

花すくい

 

森のはがき作り

 

観葉植物やアイスドリンク(フレッシュミントソーダ/ローズソーダ/自家製ジンジャエール)の販売

 

またparkERsが日頃から交流のあるネットワークを通じて、東京チェンソーズ(木のおもちゃの販売・丸太のぶんぶんコマづくり他)、酒井盆栽(盆栽の販売)、竹もりの里(竹コンポスト展示・竹とんぼづくり他)、和ハーブ協会(ハーブ茶葉の販売、和ハーブボールづくり)、貴宝園(観葉植物の販売)などパートナー企業のみなさまも出店してくださり、特別な3日間を企画しました。

 

 

 

ランドスケープデザイナー若田部:
「誰しもがいつでも賑やかにいたいわけではありません。ただその賑わいを眺めるのが嫌いな人はそれほどいないとも思っていて。一人で過ごしている人も寂しくない、熱気や賑わいを広場全体で共有していけるような場として根付いていったら嬉しいです。」

 

今年4月に竣工したイオンモール浦和美園の「うららか広場」。イベント時には、育成中の原っぱを元気いっぱいに走り回る子供たちと、それを見守る温かな家族の背中がありました。
ノシバの生育状況やガーデンの色彩・風景の変化についてもまたご紹介させていただきますのでお楽しみに。

 

 

plants culture caravan イベントレポートはこちらから。

イオンモール浦和美園について詳しくはこちらから

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