WORKS事例紹介
旅人を癒す宿場町、町の記憶の暖かさをデザイン
イニシア横浜天王町
INITIA Yokohama Tennocho
旅人を癒す宿場町
町の記憶の暖かさをデザイン
神奈川県横浜市保土ヶ谷区に完成した新築マンション「イニシア横浜天王町」のデザインをご紹介いたします。
安藤広重が描いた「東海道五十三次」の四番目の宿場、保土ヶ谷宿(現在の神奈川県横浜市保土ヶ谷区)。この地が宿場町としてにぎわっていた頃、松並木の木陰が揺らめき、人々はせせらぎに耳をすまして、川べりには植物が茂り、自然は生活の一部でした。
日が落ちると、歩き疲れた旅人が寝泊まりをする旅籠(はたご)には明かりが灯り、昼とはまた違う表情を見せる宿場町。
当時のように自然との距離が近く、また旅人が軒並みの灯りを見てほっとしたように、木々や川や灯りで暖かさを感じていただける、そんな住まいの玄関を作りました。
- MORE
-
プロデューサー:水野健登
空間デザイナー:前田藍
プランツコーディネーター:森大祐
設計監理:中嶋大樹
- DATA
-
業務内容:風除室・エントランスホールの基本設計、内装デザイン監修、植栽計画・施工(室内)、什器設計・施工、植栽メンテナンス
横浜市保土ヶ谷は、かつて「東海道五十三次」の四番目の宿場として賑わった町。浮世絵にも描かれた帷子(かたびら)川が近くを流れる「イニシア横浜天王町」。
要素をしぼりシンプルな仕上げにした風除室。中央の白っぽく見える壁面部分は、砂や貝を混ぜて塗り上げた左官仕上げにし、宿場町に流れた川の記憶を物語ります。
移り変わっていく季節をお知らせする一輪の花。背景の水のゆらぎとアンティーク調の真鍮をアクセントに新たな表現を。
宿場町を流れる川べりの風景を切り取ったエントランスホール。壁は床から天井まで薄切りの木板で囲い、木造の宿の軒並みを連想させます。
川の音を聞いて宿場町の景色を歩くように、座ったり少し立ち止まれるポイントを。旅人が木陰で一休みする光景をイメージした中央のベンチ。
空間全体にリアルな水音が心地よく響き、聴覚を刺激。川をイメージした植栽や、いびつで角が取れ大きさもまちまちな石がつくる風景は、まるで本物の川べりのよう。
窓際の杉の一枚板は、買い物帰りや出かける際に荷物を置いて呼吸を整えられる場所。ミツロウオイルを染み込ませナチュラルで温かな風合いを出しました。
シンプルながら繊細な手仕事で木のぬくもりを感じられるソファベンチ。壁面の照明はミラーの効果で暖かな灯りがどこまでも続いていくような演出に。
ホールと通路の間仕切りは、水・木・石の素材感を用いてしつらえました。透明なアクリルパネルに近づくと、ある仕掛けに気づきます。
本物の水の形を写し取った、波紋とゆらぎが生み出す柔らかく繊細な表情。住戸へと歩みを進めるふとした瞬間にも、自然の断片を感じられます。
垂れる植物が印象的なブラケット照明が、エレベーターの方へ道を照らしてお見送り。月に一度はエントランスホールに戸数分の花をお届けするので、一輪を持ち帰り、ご自宅でも植物と過ごす豊かな時間をお過ごしいただけます。