WORKS事例紹介
スキマ時間を木漏れ日が包み込む
麻布台ヒルズ森JPタワー 4階休憩エリア
Azabudai Hills.
日常の“隙間”に
ゆらぎの時間を
2023年11月24日に開業した、森ビル株式会社が手掛ける新しい街「麻布台ヒルズ」。"Modern Urban Village~緑に包まれ、人と人をつなぐ「広場」のような街~"をコンセプトにした敷地内には、オフィス、住宅、商業施設、文化施設、教育機関や医療機関など、多様な都市機能が集積しています。
parkERsは麻布台ヒルズ 森JPタワー4階にある休憩エリアのデザインを担当しました。訪れた人が自由に利用し、買い物や用事の間のちょっとした隙間時間を、心地よく過ごせる場所として手掛けさせていただきました。
- DATA
- 弊社の業務内容:コンセプト提案、造作什器デザイン・設計、植栽デザイン・計画、施工・監理、植栽メンテナンス
「麻布台ヒルズ」外観。森JPタワーは写真左手の高層ビル。
ハイテーブルとプランターが複雑に絡み合う、一体化したオリジナル什器を中央に配置し、空間を構成。空間の回遊性を高め、限られたスペースの中でも奥行きを感じられるようにしています。いびつに重なり合う什器や中央のプランターの植え込み部分の縁取りは多角形のフォルムを描き、麻布台ヒルズのロゴデザインを連想させます。
長時間の滞在ではなく多様な人が入れ替わり立ち替わり往来し、束の間のひとときをゆっくり過ごせる空間にしたいという施主さまの想いを受け、全席ハイテーブルとハイカウンターで構成しました。テーブルやプランターの天板はニュアンスカラーのモルタルで仕上げ、シャープな印象を与えながらも、スツール天板には天然木を用いて、本物の木ならではの色合いや温もりを感じられるバランスを意識しました。
年輪をモチーフにした、焼きものならではの温かみのあるクラフトタイルを、空間のアクセントに。
各フロアに設定されたシンボルツリーに合わせ、4階の休憩エリアにもショウナンゴムノキをメインに植えて、フロアの一体感を演出。葉が青々と密に茂った、ボリュームを感じられる千葉県産のショウナンゴムノキを植えました。
濃いグリーンが鮮やかで大きな葉が枝垂れるように育つショウナンゴムノキを左手にコーディネートしたのに対して、右手には抜け感が出るようグリーンのトーンがやや明るく一回り小ぶりな葉をつけるアマゾンオリーブを植えました。
空間全体のグレーがかったトーンに映える鮮やかなグリーン。下草にも濃い色合いの樹種を植え、空間の印象を引き締めます。
下草は昔から地域に根付く在来種をメインにコーディネート。中でもヤブコウジは実をつけ、次第に白から赤く色づき、花も咲かせます。刻一刻と変化する自然の移り変わりを、体感できるきっかけに。
大きな木のぼんやりとした葉影と、下草のくっきりとした葉影が重なり、テーブルやプランターにその美しい影を落とします。
中央の什器と窓際のハイカウンターの間には、背の高い置き鉢を配し、限られたスペースながらも奥行き感と木々に包まれる安心感を演出。ベンジャミンやジャボチカバといった小さな葉をたくさんつける樹種をコーディネートし、木漏れ日がゆらめく空間を演出しました。
カウンターの植物には、ヤブコウジ、ヤブソテツ、ツワブキなどの在来種をメインにコーディネート。一律に統一された美しさでなく、座る場所によって異なる気づきがあったり、植物ならではの表情の違いを感じてもらいたかったので、緑量が多い場所、あえて土を見せる場所、背の高い樹種が印象的な場所もあれば、下草が綺麗に見える場所もあるなど、ランダムに強弱をつけています。
素材、什器の形状、葉の大きさ、グリーンの濃淡など、さまざまな個性が交ざり合う空間のなかで、多様な人が気軽に訪れ自分らしく過ごせる場になりました。