WORKS事例紹介
木、風、水の中で働く。木造ハイブリッド構造のオフィスビル
KITOKI
KITOKI
多様な働き方を提案した
セットアップオフィスのデザイン
平和不動産株式会社が推進する日本橋兜町・茅場町再活性化プロジェクトの中で、2022年4月に竣工した10階建ての木造ハイブリッドビル「KITOKI」。
parkERsはフルセットアップオフィスと屋上の内装デザイン、外構植栽計画を担当しました。
建物はSRC 造による 3 層飛ばしのメガストラクチャーの内側に、 3 層ごとの木造建築を組み合わせたハイブリッド構造を採用しているのが特徴です。KITOKIではサーキュラーエコノミーの実践、 「東証上場の森」との連携、樹皮の模様に昆虫の羽の模様を混ぜた有機的なデザインの柱の採用など、自然と調和した様々な取り組みを行っていることから、parkERsは各フロアに「木」「風」「水」のコンセプトを設定し、人や働き方によって、自然とともに変化していくオフィス空間を創りました。
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プロデューサー:藤井裕也
空間デザイナー:前田藍
プランツコーディーネーター:花田美晴
設計監理:藤巻誉
- DATA
- 業務内容:内装設計デザイン(セットアップオフィスフロア・屋上 ※造作什器含む)、植栽デザイン、それぞれについての企画・コンセプトメイキング、設計・施工、植栽メンテナンス
外構には、オガタマノキやシラカシなど地域に根付く樹種を植え、その土地らしさを演出。さらにレモンや金柑の木をコーディネートすることで、 1Fに飲食店もあるビルの個性を際立たせました。
2Fは「風を感じる」フロア。フロアを囲むように設置された、開放感たっぷりのベランダから吹く風が心地よく、かつて茅やススキが生い茂り風になびく風景があった街の原風景を思い起こさせます。
柔らかな色味のグリーンとチェアの素材感が涼しげなハイカウンターは、コミュニケーションを育む場所。かすかに揺れる木漏れ日の影も、日常のワンシーンを描く要素に。
壁面緑化は流れるように自由に伸びていく有機的なラインをテーマに設計。植物そのものも、陰影も、空間の背景としても、アートのような存在感を放ちます。
ベランダに囲まれた特徴あるフロアを生かし、屋外の心地よさと室内の安心感を兼ね備えた、リフレッシュできる快適な空間に。
水音が響き渡る4Fは「水を感じる」フロア。水や氷、透明感をモチーフに構成しました。壁面タイルは焼きムラを生かして艶やかな表情を出し、床のフローリングはグレーに薄く塗装し全体彩度を落として一体感を演出。
掛け軸がモチーフの滝什器は、本物の石の表面を水がつたい流れ落ちる姿が印象的。石のきらきらとした質感に水が重なることで、隠れた石の美しさに気付かされます。
落ちて流れる水の表情とは対照的に、こちらは大地から湧き立つ水のゆらぎを表現。艶感がみずみずしく潤いを感じられるような植物とともに気持ちを落ち着けます。
水音やゆらぎの効果を感じながら、目的に合わせて家具の配置を変えられる造りとし、流動的で自由度の高い空間に。青や黒、シルバーのベースカラーが引き締めます。
7Fは「木を感じる」フロア。3本の樹を寄せ植えしたテーブルは、天高が限られた室内でもダイナミックで、360度どの角度から眺めても面白さが出るように。
1本のメープルの木から切り出した耳付きのロングテーブル。自然素材ならではの風合いとして割れもあえて採用し、日本の伝統技法である千切りを模して加工しています。
旬の一輪挿しを生けられるローテーブルとソファを中心に構成したスペース。オフィスの設備と自然の要素を連動させることで、自ずと気づきを促すデザインを。
ダイナミックで表情豊かな様々な樹種をコーディネートしながらも、木と植物がお互いを高め合うカラーバランスを意識して、調和が生まれるよう構成しました。
入居者が自由に使える屋上。ベンチとプランターは秋田県の東証上場の森の木材を使用し、木質間豊かな空間に。
夜はベンチの間接照明と球体のライトが灯り、仕事終わりのひと時を柔らかに演出します。