WORKS事例紹介
保有林をつなぐ“中庭”のようなワークプレイス
NAKANIWA
NAKANIWA
インフォーマルコミュニケーションを育み
森の風景を彷彿とさせるオフィスの中庭
東京都千代田区霞が関に本社を構える中央日本土地建物株式会社さまのワークプレイス「NAKANIWA」が竣工しました。parkERsは株式会社竹中工務店さまと協力して空間デザインをご提案、またパートナー企業に協力いただき造作家具のデザイン・施工を手掛けさせていただきました。
『はたらく場に“中庭”の心地よさを ~居心地の良い空間の「ナカ」に生まれる「ワ」(和やかさ、人の輪、自然環境との循環)の創出~』という思いをベースに、同社の社員のみなさまが、普段使っているオフィスに加えて自由に行き来し過ごせる場として誕生したこちらのワークプレイス。
同社が保有する森についての社内認知を広めたいという思いを受け、山梨県南都留郡山中湖村と神奈川県平塚市にある保有林の風景や間伐材、自然の音など森の要素ををふんだんに用いて、オフィスデザインから興味を持っていただけるような空間を目指しました。
森や自然の中で感じられる「心地よさ」を差別化し、作業内容や時間などに応じて過ごすエリアを選択するなど、オフィスでの過ごし方を自由に選択いただけます。周辺にある本社オフィスの利用とあわせ、ABWの考えを取り入れることで働きやすい環境を促進。また社員が誇れる場所をつくり、社内イベントを行ったり、社内コミュニケーションのきっかけを落とし込むことで、帰属意識やエンゲージメントを高めます。
- DATA
- 弊社の業務内容:ゾーニング・レイアウト提案、空間デザイン提案、設計監修、植栽デザイン・計画、造作什器デザイン・設計、施工・監理(植栽、造作什器)、植栽メンテナンス、コンテンツ提案(アロマ・サウンドコンテンツ)
エレベーター前の待合では、枝ものなど季節の一輪挿しを。エレベーターを降りた時に、街とオフィスのシーンを切り替えます。
入口ではシダ類やチャランなどの山中湖村の森の潜在自然植生を参考にした植物やショウナンゴムノキがお出迎え。カウンターにディフューザーを仕込み、NAKANIWAオリジナルの森の香りが五感を刺激し気分を切り替えます。
エントランスを入ってすぐの場所には、気軽に集まることができるラフなコミュニケーションスペース「シタシミエンガワ」があります。インフォーマルコミュニケーションを促進し、2〜6名でミーティングやブレストをしながらアイデア出しを行える場に。
ポイントとポイントの間に配した植物は、同じ時間を過ごす空間をゆるやかに仕切ってくれます。スタンドミーティングに適したハイテーブルもあるので、会話の内容や人数に応じて場所を変えることができ、気分の切り替えにも。
また植物を身近な距離感に植えていることで、自然に触れるきっかけを促し、自然や植物を身近に感じるように。葉からニッキのような香りがするホンニッケイやユキノシタなどの和ハーブを織り混ぜコーディネートすることで、香りからも植物に近づきたくなる仕掛けを。
森の存在を身近に感じられ気づきを促す「キヅキウッドチップ」エリアでは、現地の里山との循環を、植物や水、木材で表現し、保有林の景色を切り取ったようなシーンを空間に落とし込みました。天井のルーバーやウッドチップ、丸太などの使用している木は、山中湖村の保有林の間伐材を用いています。
またワークプレイス全体を通して、自社の環境への取り組みを社員のみなさまに認知いただくことも目的の一つ。心地よい職場環境の創出とともに、自社の取り組みを社員一人ひとりが知り、自分事化することは企業ブランディングの一役も担います。
今回新たな取り組みとして、音楽プロデューサーと平塚の保有林で1日を過ごしリアルな自然の音をレコーディング。その音をベースにアレンジを加え、オリジナルのサウンドコンテンツを制作しました。さまざまな鳥のさえずりが響きわたる早朝、柔らかな風の音が心地よい昼過ぎ、幻想的な蛙の合唱に包まれた夜の音など、10分おきに音が変化し1時間で森の1日の音色が流れることで、時間帯によって変わる森の心地よさを聴覚からも体感できます。また時計がない空間の中で、無意識のうちに時間の流れを感じるような仕掛けに。
ウッドチップの香りや足裏の感触、丸太や切り株など、自然の要素をそのままに使用し、自然だからこその不便さをあえて体感いただける場所になっています。型にとらわれない、自由な働き方を見つけて。
隣のエリアとの境目には水の什器があります。平塚の森で出会った、大きな御神木をモチーフとしたシェフレラの足元で水が湧き上がり心地よい水音を奏でる光景は、森で育つ植物や自然の力強さを感じさせます。マスキング効果のある水音が、隣り合う空間との仕切りを穏やかに演出します。
穏やかな水音と水面のゆらぎを体感できるカウンターテーブルでは、作業の合間にふと目に入るみずみずしいグリーンや水のゆらぎに癒されます。
小上がりになっている「オチツキコアガリ」エリアは、木々に包まれる安心感を感じながら、ソロワークやPC作業など個人で集中して作業を進めたい時に。
掘りごたつ風のビッグテーブルで温かな雰囲気を演出。人の存在を感じながらも、気分を入れ替え集中して作業をできる環境に。
靴を脱ぎアットホームなリラックス感で集中できる おこもりエリアは、奥まった区画を有効活用。木陰に隠れるように落ち着いて過ごすことができます。夜になると葉を閉じて姿を変えるエバーフレッシュにより時間の経過を感じられます。
オフィス中央は人が集まるマグネットスペースとして、開けた自由な空間「ニギワイナカニワ」が。過ごし方を自ら創り、にぎわいを生み出すエリアとして、フレキシブルに可動できる仕様に。カーテンを閉めてプロジェクトミーティングや社内イベントを行ったり、気軽な会話が生まれる場です。
将来キッチンスペースとして稼働予定のスペースも。植物が照明と一体になり会話を照らします。